イスラエルとパレスチナの対立は、中東地域の平和と安全に大きな影響を与える重要な問題です。その歴史や現状を知ることは、中東の人々の苦しみや願いを理解するために必要です。しかし、その対立の原因や背景は複雑で長いものです。ここでは、イスラエルとパレスチナが対立するきっかけになった歴史を簡単に紹介します。
イスラエルとパレスチナの対立の原因は「土地」をめぐる争いです。その土地は、ヨルダン川から地中海に広がるパレスチナと呼ばれる地域です。この地域は、ユダヤ教徒にとっては神から与えられた神聖な場所であり、かつてユダヤの王国があった場所です。イスラム教徒にとっては、メッカやメディナに次ぐ第三の聖地であって、ムハンマドが天に昇った場所とされてます。キリスト教徒にとっては、イエス・キリストが処刑され復活した場所とされ、聖墳墓教会などの聖地があります。
この地域には、古くからアラブ人が住んでいましたが、19世紀から20世紀にかけて、欧州やアメリカなどからユダヤ人が移住してきました。これは、「シオニズム」と呼ばれるユダヤ人の国家建設運動の一環でした。シオニズム運動は、ユダヤ人が各地で迫害や差別を受けていたことや、ナショナリズムの高まりなどによって盛り上がりました。
しかし、元から住んでいたアラブ人からは反発が起きました。アラブ人もまた、自分たちの国家や民族性を主張しようとしていました。また、イギリスやフランスなどの列強もこの地域に関心を持ち、オスマン帝国の崩壊後に分割支配しました。イギリスはアラブ人とユダヤ人の双方と相反する約束を結んだり、移住制限をしたりして混乱を招きました。
1947年には、国連がパレスチナの地をアラブ人国家とユダヤ人国家に分ける「分割決議案」を採択しました。しかしアラブ側は強硬に反対しました。翌年1948年にイスラエルが建国されると、周辺のアラブ諸国との間で第一次中東戦争が勃発しました。この戦争でイスラエルは領土を拡大し、多くのパレスチナ人が難民となりました。
その後も、イスラエルとアラブ諸国やパレスチナ人の間で戦争や紛争が続きました。特に1967年の第三次中東戦争(六日間戦争)では、イスラエルがガザ地区やヨルダン川西岸地区などを占領しました。これらの地域は、パレスチナ人が多く住む地域であり、パレスチナ人はこれらの地域を自らの領土として主張しています。しかし、イスラエルはこれらの地域を返還せず、入植活動や軍事行動を続けています。
1993年には、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)がオスロ合意を結び、パレスチナ自治政府が誕生しました。この合意では、イスラエルとパレスチナの二国家が共存するかたちを目指すことになりました。しかし、その後の和平交渉はうまくいかず、現在もパレスチナ独立国家が樹立できる見通しは立っていません。
イスラエルとパレスチナの対立は、100年以上にわたる歴史的な背景や政治的な要因によって複雑化しています。その対立により、多くの人々が命や財産を失ってきました。国際社会は、イスラエルとパレスチナの和平交渉を支援し、二国家解決や一国家解決などの提案を行っていますが、現在も決着には至っていません。イスラエルとパレスチナの対立を解決するためには、双方の権利や安全を平等に尊重することが重要です。
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イスラエル 人類史上最もやっかいな問題 ダニエル・ソカッチ (著) 鬼澤 忍 (翻訳)